彼の職業は、大手の進学塾の講師。
主に、中高生を対象にしている学習塾で彼は生徒からも、保護者からも慕われる
人気のある先生だ。
そんな職業も相まって人との出会いは豊富だった。
教育関係先、生徒、保護者、もちろんこれまでに一緒に職場で関わってきた講師の先生方。
これほどまでに、幅広い人脈をもっているのも彼の人柄の良さあってこそなのだろうと同時に、それほどまで出会いがある中で私を選んだのか、本当に不思議だった。
若い頃なんて、生徒と何かあってもおかしくない。
実際に、彼の周りにはいつもキャピキャピした取り巻きの学生がいたし、塾内には彼を推すファンクラブまであると風の噂で聞いた。
保護者もしかり、もちろん一緒の職場の同僚なんかにも手を出していても出されていても
おかしくない。
私の経験上、男性は誘われると断らない。
断れない生き物だし、狙わずとも、狙われるほどの逸材なのだからとんでもなく、女性関係にだらしがなくてもおかしくないとさえ思っていた。
しかし、付き合った最初のバレンタインデーにはチョコレートの箱を2つ持ち帰っただけだった。
過去に、保護者に付きまとわれた話も聞いたことはあったが漢方薬の入った水筒を差し入れされて困ったというエピソードしか聞いていない。
鉄壁の守り。
そんなイメージを勝手に抱いていた。
彼は彼自身を守るすべを身に着けているんだ。。と思っていた。
